このブログは「Movable Type Advent Calendar 2025の18日目の記事です。

FTPしたくない・させたくない方向けの、“サーバ上のファイル削除問題”に対して、プラグインで解決を試みた話をまとめたものです。

Movable Typeは記事、ウェブページ、コンテンツタイプ、アセット、テンプレートなど、CMSとして必要な機能を網羅しています。一方で、運用が長期化するほど現場を悩ませるのが「サーバ上に存在する実ファイル(HTML/画像/JS/CSS等)をどう管理するか」という課題です。

Movable Typeの管理画面上では、アセットは管理できても、FTPでアップロードしたファイルやサーバ上に残り続ける古いキャンペーン素材、誰が置いたか分からない検証用ファイルなどを“安全に確認して削除する”仕組みがありません。

結果として、不要ファイルが蓄積されがちです。

本記事では、そうした課題をシンプルに解決する、
「アップロードは従来通り行いつつ、削除判断と削除操作をMovable Typeの管理画面側に寄せる」ために開発したファイル管理・削除プラグインについて、機能と設計の考え方を詳しく解説します。

解決したかった課題:FTPする・しない問題の“現実的な落とし所”

Movable Typeの運用現場では、FTPアップロードを完全に排除できないケースが今も多くあります。外部ツール連携、緊急対応、静的HTML配置、一時的な検証など、FTPが必要になる局面は残り続けています。

しかしFTP運用は、CMSの管理対象から外れるため、次のような問題を引き起こします。

  • 誰が・いつ・何のために置いたファイルか分からなくなる
  • 参照元が不明で、削除判断が属人化する
  • 不要ファイルが増え、容量・セキュリティ・事故リスクが積み上がる

そこで本プラグインでは、FTP運用を全否定せず、
「削除を安全に行える仕組み」をMTの管理画面側に用意することで、運用の負債が増え続ける状態を止めることを狙いました。

ファイルツリー表示:FTPソフトで見る構造を管理画面へ

管理画面では、サーバ上の指定ディレクトリを階層構造を保持したままファイルツリーとして表示します。FTPソフトで見慣れた構成をそのままMTの管理画面で確認できるため、
「どこに何があるか分からない」「FTPを開かないと判断できない」といったストレスを減らせます。

251216_filelist.png

キーワード絞り込み:ファイルが多い現場でも使える検索

運用が長いサイトほど、ファイル数は膨大になります。ツリーを辿るだけでは目的のファイルに到達できません。そこで本プラグインでは、ファイル名を対象としたキーワード検索(絞り込み)を用意しました。

  • 部分一致検索
  • 拡張子での抽出
  • 命名規則に沿った一括確認

この検索により、
「探す → 関連を確認する → 削除する」という一連の作業が現実的な時間で回るようになります。

キーワードによるリアルタイムの絞り込みにより、確認したいファイルを速やかに発見することができます。階層化されたディレクトリ・フォルダもしっかり検索ができます

251216_keywor_filter.png

ファイル削除:便利さより“事故らない”を優先

本プラグインの中核はファイル削除機能です。
ただし削除は、便利な反面、事故が起きた時のダメージが大きい操作でもあります。

そのため、実装上は次のような安全設計を重視しています。

  • ファイル一覧表示と削除権限を用意
  • 削除対象パスの制限(想定外の場所を触らない)
  • 削除前の確認ダイアログ表示
  • 削除結果(成功/失敗)の明示

運用に組み込むときに大事なのは「削除できること」ではなく、
“削除してよいか判断できること”“誤削除を起こしにくいこと”です。そこで、ファイル確認ができることと、削除できる権限を分離し、利便性と安全性を意識した作りにしています。

サイト・パスからの前方一致で、削除させたくないパスを削除禁止にすることもできます。

251216_filemanager_plugin_setting.png

関連表示:MTオブジェクトとのつながりを“見える化”

単に削除できるだけでは、安全な運用にはなりません。
そこで本プラグインでは、ファイルとMovable Typeの各オブジェクトとの関連を解析し、ファイルツリー上にアイコンとして表示します。

対象となるのは、例えば次のようなものです。

  • 記事
  • ウェブページ
  • コンテンツデータ
  • カテゴリ
  • テンプレート
  • アセット

「このファイルは記事で参照されている」「テンプレートから読み込まれている」などが視覚的に分かることで、
運用担当者が“感覚”ではなく“情報”に基づいて削除判断できる状態を作れます。

251216_filemanager_icon.png

どこで入手できる?

本プラグインは 2026年初旬に販売開始予定です。

気になる方は、お問い合わせください。

まとめ

Movable Typeは堅牢で信頼性の高いCMSですが、ファイル管理については「運用でカバーする」前提が残っています。結果として、セキュリティを限りなく堅牢に保守したいけど、残さざるを得ない状況が散見されます。

今回のプラグインは、サーバ接続を極力避けて管理画面のみで運用できるようにするために実装しました。

同じ課題を抱えるMovable Typeユーザーのみなさんにご活用いただければ幸いです。